これまでFFF(熱融解造形)方式の3Dプリンタを使用してきた。
最近ではQIDI TECHの Q1 Proを使用している。
問題があるとすれば、
「造形がうるさいこと」
で、ファンやモータ音などアパートでは運用しにくいレベルになる。
静穏化した動作セッティングをチューニングするという手もあるが、
造形時間が伸びる方向には向かう。
相対的に静かに動作すると期待され、
透明な部品を出力したいニーズもあったため、今回、光造形機に手を出すことにした。
光造形(SLA)方式の標準的な造形方法は、下から、
・青色LED発光部
・液晶パネル
・造形された樹脂がはがれやすいフィルム
・液体樹脂タンク
・造形物引き上げ部
となっていて、わずかな隙間に入り込んだ液体樹脂に、
液晶で断面をパターン化した光を当て、
ちょっと引き上げて造形した樹脂を引きはがし、次の隙間を作る
という手順で実施される。
今回導入したのは、ELEGOO MARS5 Ultra。
人によっては、新機能である「チルトリリース機構」が余計である、
機構が増えるほど壊れるところが増えるなどのコメントもあるようだったが、
Z軸引き上げのみでフィルムからはがすのもそれはそれでフィルム負荷高いのでは
と思ったのでこれにした。
機構があまりないからか、下手なFFFプリンタより安価。
あと今回の選定条件としては、質量。本体10kg以下とした。でかいと大変なので。。
今回液体樹脂(UVレジン)はこれにした。NOVA3D 水洗いレジン(クリア)。
なお水洗いレジンといっても排水に制限があるため注意が必要。
IPAをジャバジャバ使うようなやり方よりは幾分マシ程度。
そもそもレジンモノマーがアレルギーを起こす可能性もあり、
そのへんの対応は後述する。
このほか、今回「事前に」準備したもの。
ペットシーツ
UVライト
ステンレスバット
ストレーナーと漏斗
ショップタオル
プラまな板
ニトリル手袋(中厚)
プラスチック用ニッパー
順番に説明すると、
1.は液体樹脂をこぼした時の対策として。床にこぼれて固体化すると除去が困難だし、
水滴と間違って踏んだりすると人体によくない。
2.は造形後の2次硬化という、硬度を上げるための追加作業用として
(UVではなく、405nmの青色光のほうが良いかもしれないが、
365nmのUVライトは蛍光を見るのにも使えるので、、)
また、ペットシーツにこぼしたレジンを反応させて無害化するのにも使用する。
3.造形後、プラットホームという、樹脂をくっつけるベースからはがす作業が発生するが、
その際液体樹脂が垂れるため、受け皿として使用。
レジンのついたスクレーパや樹脂ボトルの置き場としても使えるため、
3枚程度あるとよい。100円ショップにあるもので十分。
4.運用後レジンをボトルに戻す作業が発生する。
その際にごみを除くためのもの。
塗料用のディスポのものが良い。
購入時に付属はする(紙にメッシュが貼ってあるもの。こぼしそうで信用していないが)
5.キッチンタオルを強化したようなもの。ホームセンターにある。
バットに垂れた液体樹脂を拭いたり、洗った手を拭いたりなど多用途に使える。
6.二次硬化時の置き場として。ポリプロピレンとUVレジンの接着相性は悪いため、
硬化時に液体樹脂が残っていてもくっつかない。
7.UVレジンアレルギー対策として必須。浸透する恐れもあるため、薄手でないほうが良い。
また、同様の理由で繰り返しの再利用も推奨しない。日単位で取り換えるほうが無難。
モノタロウのを利用しているが、ホームセンターやアマゾンにもある。
8.FFF3Dプリンタで使用しているものを使用。サポートの取り残りの除去用。
そのほか、硬化面積が大きくなってくると樹脂がフィルムからはがれる際に振動するようになったため、
防振ゲルをプリンタ足に追加した。
運用。
初期設置はマニュアル通りに。ただし、プリンタの下にペットシーツは引いておいたほうが良い。
また、バットなど周辺機材を置くスペースもペットシーツを引く。
造形、サポート柱をつけるところは工夫が必要。
つけないと脱落するし、つけすぎると処理が大変になる。
また、プラットホームからの距離が近いと、造形部品が太る傾向にあるようで、
10mmほどサポートで距離を取っている。
まあこの辺りは導入直後でまだあまり運用ノウハウがない。
クリア樹脂は造形条件が違うため、メーカーの設定値に変更する。
造形完了後。
手袋をしてから扱う。
プラットホームからスクレーパ(MARS5付属品。)ではがす。
液体樹脂のたれ、飛び散りに注意する。
造形物は水洗してから二次硬化する。
クリアパーツの場合、表面精度より透明度を重視したければ「洗わないで二次硬化」という選択肢もあり。
片付け。ショップタオルで、スクレーパやバットを拭く。そののち水洗する。
拭くのに使ったショップタオルは水洗いしない。
UVライトを当てて反応させ、有害性を減らす。
この際、最大で数十度の発熱をするため、緊急時には水が使えるようシンクで行う。
反応処理後は、勝手に反応が進まないよう水で湿らせてから、燃えるごみとする。
(3Dプリンタのカバーを設置しなおしてから)ペットシーツにもライトを照射する。
こぼしたところは光るためわかりやすい。
水はバケツ(2つあるとよい)にUVを当て、そののち凝集剤を入れるくらいしか家庭でできることはない。
プリンタ内の液体樹脂の片づけは、毎度行う派閥と、日光だけ避けて、放っておく派閥が存在する。
後者も、フィルムをしょっちゅう触ることで痛めることを考えれば合理的ではある。
造形物。練習兼、タンククリーニング用のつまみ。
タンクにごみが落ちたとき、これを置いてから全面照射すると、
つまみやごみごと固まって取り除けるらしい。
左半分と右半分でツヤ感が違うのに注目。