インパルスハンマーのDIY
その2 

なんと、つづいた。(前回)

インパルスハンマーをDIYしてみて、オリジナルの部分が多くて何かが間違っていてもそれがどこなのかわからない状態となっていた。

ずっと、本物の加速度ピックアップやチャージアンプはとても高額で手が出ない、と思っていたが、
ふと最近調べていたら、中古なら手が届くものもあることに気がついて、比較をしようということになった。


届いたアンプ。
新品当時の1/40程度の価格で手に入った。

ハンマー類も前回のと同等品を再購入した。

ハンマーの後端に加速度ピックアップをマグネットで貼り付け、床をたたいてパルスをオシロで測定した。

まずは前回の圧電素子。
前回のように素子中央をよけて両面テープ貼りすると振幅は稼げるものの負の方向にも値がよく出てしまうので、
今回は全面に貼り付けた。

続いて、加速度ピックアップをハンマー後端に取り付けたもの。
取り付けはマグネットとした。理由は10kHzより先が当面必要ないから。

鋭いピーク、わずかなオーバーシュート、それから電源アダプタ由来っぽいノイズがみえる。

比較。
黄色が加速度ピックアップ、青が圧電素子。

ピーク後ろ側が圧電素子はなまっている。
もともとブザーとしての共振周波数が8000Hz程度と、加速度ピックアップのスペックよりずっと下なのでその影響があるのかもしれない。

このオーバーシュート、インピーダンスマッチングの問題の可能性があったので、
オシロ側端子に50Ωの終端抵抗モジュールを取り付けた。

多少収まったようにもみえる。

シンワの直尺(30cm)をつるしてたたいてみた。
加振側はハンマー後端に加速度ピックアップ、受信側は直尺の中央に加速度ピックアップをそれぞれマグネットでつけた。
ソフトなど処理系統の問題を確認したい。

グラフは横軸レンジを100Hz、1kHz、10kHzと変えて描画したもの。

50Hzのピークは商用電源のノイズを拾っている気がする。

ピークはかなりはっきりした。
また、ピークのある場所のコヒーレンスはまあまあある。
ただし、全体にコヒーレンス関数の値が小さいのは気にはなる。
ハンマーやセンサーの出来が問題ではないということは分かった。

コヒーレンスの値が落ちる原因について、
・ハンマリングの問題(ダブルハンマー、打撃位置や方向のずれ)
・S/N比がわるい(低加振力、外来振動、検出器感度)
・出力波形が測定範囲からはみ出る
・対象の特性が非線形
が考えられるとのこと。
ハンマリングの練度が低い影響は出るかもしれない。修業がいる。

2024.11.24追記

ADXL354モジュールの使い方を思い出したので、加速度ピックアップのハンマーを使ってハンマリングしてみる。
まずはハンマーに加速度ピックアップ(LPF10kHz)、センサーにADXL354とし、直尺の中央に設置。
最大加速度が高くてサチってしまうことがあった。

結果のZ軸グラフ。

200Hz付近の共振が低周波数側にずれているのは、センサーを付けるマグネットが重いのが影響しているかもしれない。
ADXL354が1500Hzまでの素子のため、2kHzからのピークは怪しい。
3kHzから先は完全にノイズを見ていると思われる。

加速度ピックアップのLPFを3kHzに変更した場合。

低周波数側はあまり変化なし。5kHzから先はかえって悪くなっている。
両者にLPFがかかっているのになぜ。。

ハンマーを圧電素子、センサーを加速度ピックアップ(lpf3kHz)としたとき。

やはり200Hz付近のピークは高周波数側に移動する。
ピークは鋭い。これも質量差が影響しているか。
ハンマーのセンサ素子の影響はあまりないようにも見える。

センサー位置を定規の上部に変更した。
まず、センサがADXL354、ハンマーが加速度ピックアップのとき。

振動の腹ではなくなるので、200Hz付近のピークはなくなった。

センサーを加速度ピックアップ、ハンマーを圧電素子とした場合。

600Hz付近のピークは合うが。

コヒーレンスのグラフが上がってこないのは変わらず。

小野測器のFFTアナライザの参考PDFを読んでいて、データ取得周波数が低いとコヒーレンス関数が下がる、という記述を見つけた。
ここまでのオシロのレコード長は100kで、記録やデータ処理の軽さを重視していたが、レコード長を1Mにあげて、
加速度ピックアップでハンマーとセンサーを構成して直尺をたたいた。


結果は大きくコヒーレンス関数の値が改善した。
漏れ誤差によるものだったということだろう。

1250Hzから先はコヒーレンスが低くあてにならないとみられる。
プラハンマーチップでたたいたので、市販インパルスハンマーのミディアムチップ相当と考えるなら、
まあまあ妥当な結果と考えられる。
加振周波数範囲が低めなのだろう。

追加したいこと:

ADXL354のピークがブロードな理由がおそらくマグネット質量の大きさなのを確かめたい。
おそらく、ピーク周波数のシフトとピークの急峻さで評価可能なはず

・チップを鉄チップにしたら高周波数まで波形が出るのかの検証

2024.11.25 追記

ハンマーのチップを真鍮に変更してみた。
ハンマー、センサーとも、加速度ピックアップにて。
直尺の下端をたたき、中央部のセンサーで拾うのはいつもと同じ。

結果としては、あまりよろしくない。
高周波側は多少改善するもののディップが多い。

ハンマーのチップをプラに戻して、オシロで記録する際のビット数を変更した。
まず14bit

コヒーレンスに大差なし

8bit。

おおむね14bitと変わりがないように見える。