レーザ彫刻機と目の保護
加工テストに入ると思った?
ざんねん,保護具についてでした
高出力レーザを扱うに当たっては,何よりもまず自分や他人の目を守る必要がある
(その次は体に直撃させないことと火事を出さないこと).
信用できる保護具なしにビームを出したり,調整することは避ける必要がある.
特に,可視光レーザは可視光を見るためにデザインされた我々の眼の網膜にきちんとピントがあうので,
被害が大きくなる可能性が高い.
また,赤外線と違って強い青色光は可視光をキャッチする視物質が障害する可能性があるため,
きちんと減光してやる必要がある.
aliexpressなどでレーザ加工機を買うとオマケで保護眼鏡がついてくる.
が,これが信用できるものなのかどうかが問題となってくる.
レーザの減衰具合をあらわすために,光学濃度(OD / Optical Dencity)という値を用いる.
これは,透過率をあらわす際,1/100,000などと書きあらわすと読みにくいので,
1/(10のn乗)の nの部分,指数のみ取り出してあらわしたものを使う.
OD3だったら1/1,000だし,OD6なら1/1,000,000となる.
通常どのくらいの減衰が必要かというと,10W程度なら光軸調整や整備をするときには
調整すべきビームが見えなくても困るのでOD4くらい,
通常の運用中はビームを見る必要がないのでOD6の完全吸収タイプを利用する.
さてここでaliexpressで単体売りしている保護メガネを眺めていくと,まあ何種類か売っており,
その多くはOD4+あるいはOD5+となっている.
1桁Wの出力だったころはまあOD4でもいいだろうが,今現在の出力では保護しきれるか微妙なところではある.
また問題となるのが,あそこで売っている連中,どこかに転がってた画像を容赦なく自分の商品ページに貼り付ける
(それこそ,画像に他店の透かしが入っていても気にしないレベル)
ようなことをするので,実際に届いたメガネに商品ページ記載の保護力があるのかいまいち信用できないという点がある.
具体的な減光度を測定する機材は保有していないので定量的な評価はできないのだが,
OD3を保証するブルーライトカット用ゴーグルとおまけゴーグルをデジカメレンズの前に交互に置いて
ビームの散乱光を見せたところ,一部の条件でおまけゴーグルのときだけデジカメのセンサが飽和して縦線出たので,
おまけゴーグルに本当にOD4あるかどうかはわからない.
せっかく本体安く買えるのに,本体価格の半分ぐらいする保護メガネを買うのは気が引けるかもしれない.
でも,2桁Wで,反射の多い金属に当てて加工するような機械で,ロクに機械側に保護もないようなものなので,
可能ならしっかりした保護具を選んでほしい.
今回Shimalithは理研オプテックのRS-80 AR を選んだ.これだと完全吸収タイプなので,レーザ光は見えない.
オーバーグラスタイプなので眼鏡の上からかけられる.
青色帯域を吸収するので,ゴーグルの色は補色の橙色になる.
(aliexpressで売ってる青色レーザ用メガネは緑色じゃないかって?あれは,実は2波長対応型なんだ)
他にも多波長対応タイプのゴーグルなんかも市販されており,いろいろ扱うのに便利そうに見えたりもするが,
多波長対応型は透過できる光が減るので視界が暗くなる.
より本質的な保護としては,まず加工機から出てくるビームを減らす,箱で覆うのがいいと思う.
覆っちゃうとビームや火花がばしばし出てるところを見られなくてつまんない,というひとは,
箱にwebカメラでもつけてモニタで眺めるのが良い.
あなたのMk1アイボールセンサーは良くて2つしか搭載されていないし交換もできないが,
機械の眼は替えが効く.