ニコンの実体顕微鏡ファーブルの無改造
「デジタルカメラは精密機械である.」
これを真に理解するには,自分で購入して運用するほかないのであろう.
ケータイも精密機械だけれど皆所持しているだろう,ケータイにもカメラが付いているだろう,
というのは製品の耐衝撃設計レベルの違いを理解していない意見だ.
ケータイは机から落としても筐体に傷が付く程度だが,デジカメは高確率で壊れる.
というか,いまや最も身近な精密機器であるケータイの過剰な強度は,世の人間の機械扱いへの注意力を奪い,
壊れやすいものを取り扱う心構えを失わせているような気がする.
なんでこんな話を枕にしているのかというと,
研究室で実験結果を観察,撮影するためにNikonの実体顕微鏡「ファーブル」を利用しているが,
その観察用デジカメが壊されまくるためである.
1年おきに2台,どちらもレンズが繰り出されている状態から落とされ再起不能になった.
せっかく故障品をとっておいたのに,同じ所を壊されては対応しようがない.
「電源を入れた状態で膝の上」とか,ケータイはその運用に耐えられるけれどデジカメは無理なのでぃすよ.
顕微鏡に接続するブラケットの形状から,対応カメラはNikonのコンパクトデジカメの特定機種に限られ,
一度は同型の中古品を入手したが,今度はブラケットから買い直すか,
それとも良い機会だからまともな実体顕微鏡をいれるかという話をかなり進めていたのだが,
寝る前にふと思いついたのでやってみた.
必要なもの:USBカメラ,後述する理由により下記品番を推奨する
今回Shimalithが使用したもの
ブラック(今回使用)
色によって値段が違うようで,人気の色や在庫の量が透けて見えるような気がするがきっと気のせいだろう.
実は今回そのへんのビックカメラで調達したため価格差はなく黒を選んだ.
オートフォーカスモデルもあるようだが今回は不要と判断する.(どうせ欲しいところに合わない)
さて,箱から出すとこのようなものである.ヘッドセットは今回は不要であり適当にリユースしていただく.
カメラの脚も不要なので引っ張り取り外すが,これは他に使い道はないかと思われる.
本当はここからUSBカメラをマウントするブラケットの製作を予定していたのだが,
(当初は,そのために円筒状の機種をチョイスしていた),
最初に画角や視野が十分か確認している間に,このようなことに気がついた.
突き刺さったまま手を離しても取れないのである.
これは,顕微鏡の接続部外周とUSBカメラのケース内周の径が,ちょうどプラスチックの弾性ではめ合う程度にアンダーなためだ.
これにデジカメ用のブラケットを接続すると完成である.
先ほどのただ突き刺さっただけの状態ではすぐに外れそうだと思われるかもしれない.
だが,黄色の矢印で示したところにある外したカメラ脚の名残とブラケットが非常に良好な位置関係にあり,
上からの力にはある程度強くなっている.上側に堅めのスポンジを詰めればOKだろう.
これでは不安だという方,またカメラ本体のシャッターボタンを利用したい方(無くてもパソコンで操作できるのだが)は
あらためて専用ブラケットを作製していただくことになる.
使用例,接眼レンズもあるが,PCのモニタで見た方が大きく鮮明であり,モニタを見ながらピントとシャッターを行う.
とりあえず使うだけならばドライバレス機種なので,(WinXPなら)接続してビデオデバイス#としてマイコンピュータから選択するだけだが,
200万画素をフルに利用するには「AMCAP」などキャプチャソフトの使用が必要になる.