チタンの陽極酸化

以前にアルミニウムの陽極酸化をしている.

チタンの陽極酸化は当時はチタン製品が少なかったこともあってやらなかったが,
最近では見かけることも増えてきたので,こちらもやってみようということになった.


電源と溶液が必要だ.

電源はスライダック(可変電圧トランス)とブリッジダイオードでよい.
これは,アルミニウムの着色可能被膜を作るのには,被膜中の細穴形成を安定するため,
電解条件の安定が厳しく,定電流電源を必要としたが,
チタンの着色被膜は構造色で発色しており,これは最終的に到達電圧で決まるので,
変動していてもよいからだ(さすがに,整流は必要).

陽極と負極が接触してショートするとトランスが焼けるため,
ブリッジダイオードの後ろには電流制限抵抗を付けることを推奨するが,
抵抗値が大きいと電解が進まない.抵抗値が小さいのに容量が小さいと抵抗が焼ける.

電源部.

水槽はバケツ.

負極はそのへんにあったステンレス板にした.

溶液はリン酸が入っているもの,よく利用されているのは手に入りやすいこともありコーラなどのリン酸入り清涼飲料水だが,
(飲料ごとのリン酸量は医療系のサイトで公開されているものを探すとよい)
今回は手元にあったのでリン酸Naを0.1%で調整した.

溶液と電極.

結果.

チタン製テントペグを50Vから10V刻みで変更しながら処理した(左列).
50-100Vにかけて良好な発色となり,それを超えるとくすんだ色になってくる.

なおレインボーにするには,被膜をその電圧で出る膜厚まで到達させずに傾斜をつければよいので,
溶液に出し入れすることで可能である.

テントペグによる試験.

めちゃくちゃつくった.

レインボーテスト結果

チタンカップを処理.
複雑形状のものを小さい水槽で均質に処理するのは難しいので,レインボーにするつもりで処理.

チタン製とのことだったが,これは色が濃くなって終了した.

排水処理.

リンは富栄養化の原因となる物質である.
濃縮してから吸わせてゴミにしてもよい.
コーラでやっている場合はコーラを捨てる程度の環境負荷が,排水に流した場合にはかかる.
0.1%リン酸の場合,同じ量の牛乳を流すのと同じ程度にかかると考えてほしい.

液肥の濃度と薄める倍率からすると,もう10倍ほど薄めるとリン酸肥料として植物に使用できる可能性はあるが,
うっかり枯れないか確認してからにはしてほしい.