エツミ製ホットシューアダプターα E-6238はシンクロ電圧が5V以上だと動作しない
amazonで「エツミ ホットシューアダプターα E-6238」を購入した.
低圧シンクロストロボ専用とのことだったが,
α100で使ってみたところ,見事に動作しなかった.(後にα350でもチェックしたが動作せず)
その際のストロボ2種の挙動と分解からの解析について.
今回テストしたトスロボはナショナル「PE-321SW」と,サンパック「B3000S」の2機.
PE-321SWは,ホットシューアダプターを装着して電源を入れるとチャージ完了を示すランプが点灯しなくなり,
テスト発光もできず,カメラに取り付けても(当然)反応しなかった.
この際,アダプターを介したシンクロ電圧は5Vを示していて,本来のシンクロ電圧約8Vと比べ,
3V程電圧降下していた.
B3000Sの場合,ホットシューマウントに取り付けてから電源を入れると,チャージ完了ランプは点灯し,
テスト発光も出来るが,カメラからの信号には反応しなかった.
電源を入れてからシンクロコードを繋ごうとすると,コードの端子が接触した瞬間,発光してしまった.
さて,今度はアダプターの分解である.
ちょうどコンパクトデジカメが壊れていたため,携帯カメラのがっかり画質で申し訳ない.
分解手順
裏面ネジ2本を外す.
表面,ホットシュー当たり面の金属板をマイナスドライバーなどでずらす.
金属板に隠されていたネジ4本を外す.
ホットシュー受けが外れると,さらにネジがあるので外す.これで筐体が分割するので配線を切らないように注意.
フタを開いたところ.右上にツェナーダイオードが見える.
基板の止めネジを外し,基板部を裏返したもの.
見えている4本のスプリングはアクセサリーシュー端子への導通と保持を担っている.
分解してみて解ったことは,
・類似品を分解しているサイトでの製品と全く同じ構造となっている.
・ネジ数が多く,強度的にはストロボ重量の大きいモーメントがかかっても破損しにくくなっている
意外とマトモな構造設計の反面,内部は非常に狭い.
・ホットシュー側のX接点以外の端子は結線されておらず,ダミーである.
・カメラ本体保護用のツェナーダイオードが入っている.
今回テストしたストロボ2種が不動作だった理由は,カメラ本体回路保護用のツェナーダイオードが,
5V以上の電圧を吸収することで,シンクロ電圧が5V以上のストロボは常にツェナーダイオードに電流を取られ,
その電流をトリガ信号と誤認識してしまったり,電流によってトリガ信号を検出できなかったりするためのようだ.
じゃあ,これをマトモにシンクロするようにするには,ということで,真っ先に思いつきそうなのは,
・電圧を吸収するツェナーダイオードを外す
だが,ちょっと待って欲しい.
アダプターメーカが,万一高圧シンクロのストロボを付けたときの保護素子としてツェナーを入れているのだとしたら,
低圧シンクロであることを各人で事前に調べ,高圧タイプは絶対に接続しないと決めて使うことも出来そうにみえる.
しかし,αシリーズストロボのシンクロ電圧は,デジタル一眼非対応の時代の5400HSでさえ,2Vしかないのだ.
それを考えると,TTLレベル以上の電圧をかけて本体破損させるリスクを冒すわけにはいかないし,
もちろん本体を分解して対応電圧を調べるわけにもいかない.
通常は,異常な高電圧やノイズの流入で誤動作や破損などの事故が発生しうるときには,
「フォトカプラ」や「フォトMOS」等の素子を使用し,光で信号はやりとりできるが,電気的には分離されている回路を組む.
その方式なら,十分なスペックの素子を選択すれば,高圧シンクロにすら対応できる.
さらに,シンクロターミナルとホットシューの同時使用も可にできる.
ただし,やっぱり問題があり,
・電気的にストロボと切り離してしまうので,アクセサリーシュー側端子用に別途電源が必要
・で,電池を込むとどう考えてもあの空間には入り切らない.
なんというか,ソニー純正のアダプター(高い)がどうして前に出っ張った大きめのサイズにしたかが解るような気がする.
このままゴミにするのは流儀に反するし,強度の面だけは申し分無いので,
アダプターの外に引き出す形で,電池とフォトMOSを使った改造基板を増設してみようと思う.
参考:
似たようなアダプターを分解している,「SSBのデジモノ買い道楽」の「α用のホットシューアダプター(SC-5)」