Terastation のRaid解体,再構築

「バックアップは戦略」と言われるそうだ.

これは,

・1つディスクが故障しただけでデータを失わない

までは当然行うべき,戦術と言えるものだが,

・どこのディスクにファイルがあるのか

・どのディスクのファイルが最新なのか

となってくると,事前に取り決めをして,その通りに運用していかないといけなくなる.

ここが非常に難しく,それゆえ「戦略」という言葉を得ているのだろう.

最初から多数のパソコンやデータデバイスが納入されるビジネスオフィスなどでは,

あらかじめハンドリングすべきデータの量が分かるし,パソコンと同時にバックアップデバイスも

装備するのが普通なので,むしろ環境を作りやすいが,これが個人の家庭だとそうはいかない.

パソコンは後から少しずつ増えてくるし,バックアップデバイスは大抵普段使いのものがひと揃いした後,

データの保管場所が収拾付かなくなってから購入するのでものすごくしんどい.

光学ディスクは最近容量の解離がひどくなってきて難しくなってきている.

そういうShimalithも,着々と「ものすごくしんどい」状態になってきていた.

データデバイスの容量増加の変遷を挙げると,

・ノートPC 30G

・ポータブルプレーヤ 20G

・モバイルノートPC 60G

・NAS 1TB

・デスクトップPC 500G->1TB

・録画PC 1TB

前半はバックアップするHDDの余力がないし,データ総量もたいしたことがないので,

CDをメインに写真データやレポートののバックアップをとっていた.

しかし,PCごとに持っているファイルが違う状況は起こり始めていた.

NAS購入のあたりで,データ消失の危険性を感じていたが,

その時点ではただ溢れたファイルを投げ込むところになってしまい,

そうこうするうちに「どこにファイルがあって,どれが最新か」よくわからなくなった(笑)

さらに,NAS上でデータを立て直そうかと思っていたときに,

RAID5はHDDクラッシュには強いが,代わりにRAIDエラーで全滅するリスクがある」

という話を聞いたので,デスクトップ機にもバックアップデータのバックアップをしてワケ分からなくなる事態に.

そこで今回は,RAID5を解除し大容量のものに組み替え再設定,デスクトップ機容量再編,

データ取り扱い規定の見直しなどを含めた作業を行う事にした.

まず,録画専用PCが出来た時から余っていた500GBのHDDを

メインのPhenomマシン上で1パーティションに切ってフォーマット.

ドライブレターは適当に未割り当ての中から「J:」を選んだ.

次に,NASの「TeraStaion Pro TS-HDL/R5 1.0TB」上のフォルダをネットワークドライブとしてマウントする.

マウントしてしまうと,WindowsXP上からは通常のドライブとして扱われ,

コピー時の正確な絶対パスの指示も必要なくなる,

仮想ドライブとほぼ同じ機能がOSから提供されると思って良い.

マウント方法は,エクスプローラの「ツール(T)」-「ネットワーク ドライブの割り当て(N)...」で,

望みのフォルダを指定し,必要なアカウント情報を入力すればよい.

ネットワークドライブは後ろの方のドライブレターを当てた方が問題が起きにくい.

ファイルコピーは,システムファイルをコピーしようとしてエラーが出たり,

実行ファイルをコピーしようとしてやっぱりエラーが出たりして,

ドラッグ&ドロップで行うと途中でメッセージが出て中断するなど,

放置して作業させることの多い大容量データを扱うときには面倒なので,コマンド プロンプトを使う.

「スタート」-「ファイル名を指定して実行(R)...」で,「cmd」と入力すればOK.

プロンプトでの入力は,

cd /d x: カレントディレクトリ変更, ドライブレターを超えた移動,x:へ

xcopy x: j:\Networkdrive /s /c /k /v まとめてx:からj:下のNetworkdriveフォルダにコピー,

サブディレクトリとその中身もコピー,エラー無視,読み取り属性コピー,ベリファイ

で延々コピーしてくれる.ベリファイも頼んだのであとは放置.

GigabitLANを構築しているが,TerastationのCPUがボトルネックなので,良くて80Mbpsしか出ない.

500GBのデータ待避ディスクは,むき身で繋いではいるものの,

10cm冷却ファンを録画PCから電源をとって風を当てている.

結局全データが550GBほどだったので,一部はメインPCのドライブにコピーした.

コピーが終わったら,TeraStationの設定画面に行く.

「ディスク管理」の「RAID設定」でRAIDアレイ1を選択して,アレイの解除をする.

アレイの解除か終わったら,一旦再起動をかけるのが無難(今回,処理が重かったのか,フォーマット時に,

重要設定時確認用に表示されたとおり入力する数字がバグって表示されなくなった).

割り当てたネットワークドライブは解除しておく.

再起動したTeraStationで共有フォルダの再設定.

この設定もTeraStationを再起動しないと反映されないことが多い.

今回はドライブ1は使用せず,RAIDも今の時点では組まないのでディスク2-4に適宜フォルダを割り当てる.

割り当てたフォルダをネットワークドライブとして割り当てたら,

再びコマンドプロンプトで,

cd /d j:

xcopy \Networkdrive x: /s c /k /v j:のNetworkdriveフォルダ内のファイルをxcopy

で書き込み.

なお,Ubuntu Live CD等で外したTeraStationディスクをマウントしてコピーした方が早いような気がするが,

実際にはそのようなことは全くなかった.ので,自分のなれた方法を使っていればOK.

外した#1ディスクは研究室で使っているPCの交換用に使用した.

HDD引っ越しに使用したソフトは,「BAKP」というシェアウェアで,個人開発のソフトウェアでは

「システム特権を取得してWindows起動中にシステムファイルをコピーできる」唯一のソフトウェアかもしれない.

BAKPには,しょっちゅうダイアログが出てきて放置が出来ないものの,

おおよその機能が使用できる試用モードもあるので,使えるかどうか試してみるならそちらで.

Shimalithは過去に試用版でその利便性を感じていたし,この価格で実現するソフトは他にないようなので,

今回Vectorでライセンスを購入した.

交換元ディスクの方が容量が小さかったので,MBRごとディスク全セクタをミラーする拡張モードで利用した.

コピー終了後,元HDDを取り外して起動すれば,元通り.

試用版では基本機能しか使用できないが,FDブートでMBRを書き直せば出来ると思う

(過去の試用時にその方法で引っ越したことがある).

コピー元HDDはフォーマットしてさらに他のPCにドミノ移植された.

メインデスクトップPCも作業用ファイルの他は,基本的にデータを置かない方針に決めたので,

1TB =>500GBのHDDにダウングレード.

システムパーティション以外は適当に領域を設定してコピーで良い.

コピー後は元パーティションのドライブレター割り当てを解除し,

コピー先パーティションに元のドライブレターを割り当てる.

システムパーティションを今回は縮小することにしたので,「BAKP」の拡張機能は使えない.

今回は「Noton SAVE & RESTORE」を利用した(あったから,という以上の理由はない)が,圧縮ミラーの出来るソフトならどれでも良い.

TeraStation上のバックアップデータのリカバリで,

「書き戻し先を新ドライブのパーティションにする」カスタムリカバリをする.

設定が出来ればそのパーティションをCにするオプションを使用する.

(後で気づいたが,Ubuntu Live CDのGPertedなど何らかのパーティション操作ソフトで

元パーティションサイズを縮小しておけば,BAKPの前述したコピーが可能)

TeraStationには,あふれた1TBのHDDをマウントする予定だったが,

…580GBでフォーマットされてしまう.

(この問題についての検証は別ページで)

作業中,PCにマウントするドライブを間違え,データを丸ごと吹き飛ばす

という痛恨のオペレーションミスが発生した.

データ保護における最大の敵はヒューマンエラーであることを実感した.

幸いなことに,RAIDを解除してからなぜかTeraStationにマウントされなくなった

USB-HDDをUbuntu Live CD 上で覗いたところ,削除してしまったデータ群の

2ヶ月前のバックアップが置いてあったのでおおよそ書き戻しには成功した.

TerastationはLInuxのくせに漢字コードがShift-JISとかどんなパソコンに繋いでも日本語が化ける仕様なので,

ファイルやフォルダの漢字コード変換をしてあらかた修復した.

とにかくドライブ単位のデータ移動に時間がかかるので,作業の指令を出したら放置の方針だったが,

結局再構築までだけで丸一週間を要した.